日本政府観光局(JNTO)が2026年10月21日に発表した推計値によると、2026年1〜9月の訪日外客数は累計30,730,200人(前年同期比2.9%減)となりました。前年同期をわずかに下回ったものの、昨年に続き9月末時点で3,000万人を突破しています。
当ブログでは2026年1月分のレポート以降、月次の更新をお休みしていました。本記事では2月から9月までの動きをまとめて振り返り、国・地域別の動向と旅行消費額のデータから、インバウンド事業者がいま取るべき対策を整理します。
| 月 | 訪日外客数 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 1月 | 3,597,881人 | −4.9% |
| 2月 | 3,466,848人 | +6.4% |
| 3月 | 3,619,159人 | +3.5% |
| 4月 | 3,692,364人 | −5.5% |
| 5月 | 3,560,256人 | −3.6% |
| 6月 | 3,148,754人 | −6.8% |
| 7月 | 3,442,310人 | +0.2% |
| 8月 | 3,098,900人(推計値) | −9.6% |
| 9月 | 3,103,700人(推計値) | −5.0% |
| 1〜9月累計 | 30,730,200人 | −2.9% |
1〜3月は、2月(+6.4%)、3月(+3.5%)と前年を上回りました。春節(旧正月)が2025年の1月下旬から2026年は2月中旬にずれたことも、2月の増加を後押ししています。4〜6月は中国市場の落ち込みが響いて前年比マイナスが続き、7月は+0.2%と持ち直したものの、8月(−9.6%)、9月(−5.0%)と2か月連続で前年を下回りました。
9月の減少についてJNTOは、中国政府による渡航注意喚起の影響に加え、中東情勢による航空券価格の上昇や、台風による航空便の欠航を要因に挙げています。
なお、10〜12月が前年同期比5〜10%減で推移したと仮定した当社の試算では、2026年の年間訪日客数は約4,070万〜4,120万人となります。4,000万人台は維持する一方、過去最高だった2025年(約4,268万人)には届かない見通しです。
国・地域別では、韓国が前年同期比21.6%増の826万2,700人で首位となり、全体の26.9%を占めました。訪日客の4人に1人以上が韓国からという計算です。台湾も19.1%増の599万7,600人と大きく伸び、韓国・台湾の2市場で全体の46.4%に達しています。
一方、2025年に最大の市場だった中国は55.5%減の333万5,500人となり、構成比は23.7%から10.9%へと大きく低下しました。
| 順位・市場 | 1〜9月累計 | 前年同期比 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 1. 韓国 | 8,262,700人 | +21.6% | 26.9% |
| 2. 台湾 | 5,997,600人 | +19.1% | 19.5% |
| 3. 中国 | 3,335,500人 | −55.5% | 10.9% |
| 4. 米国 | 2,522,800人 | +5.2% | 8.2% |
| 5. 香港 | 1,963,300人 | +7.7% | 6.4% |
| 6. タイ | 835,400人 | +2.4% | 2.7% |
| 7. 豪州 | 771,900人 | +2.2% | 2.5% |
| 8. フィリピン | 601,300人 | +1.7% | 2.0% |
| 9. ベトナム | 551,100人 | +4.0% | 1.8% |
| 10. カナダ | 518,900人 | +4.9% | 1.7% |
中国からの訪日客は、中国政府による日本への渡航注意喚起が複数回出されたことや、航空便の減便により、前年を大きく下回る状態が続いています。9月も中秋節・国慶節の連休需要はあったものの、前年同月比44.5%減の43万800人にとどまりました。
注目したいのは、中国を除いた訪日客数です。2026年1〜9月の中国以外からの訪日客は約2,739万人で、前年同期の約2,416万人から13.4%増加しています。全体の数字は前年割れでも、中国以外の市場は力強く伸びており、特定の市場に依存しない「多極化」が数字の上でもはっきり進んでいます。
この流れは、当ブログの記事「中国の渡航回避呼びかけ、脱中国依存の好機に」でも取り上げました。
| 区分 | 2025年1〜9月 | 2026年1〜9月 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 中国 | 7,487,508人 | 3,335,500人 | −55.5% |
| 中国以外 | 24,163,819人 | 27,394,700人 | +13.4% |
| 総数 | 31,651,327人 | 30,730,200人 | −2.9% |
※中国以外の数値は、JNTO公表値をもとに当社が算出
米国・カナダ・メキシコ・豪州と、欧州主要5か国(英国・フランス・ドイツ・イタリア・スペイン)・北欧地域を合わせた「欧米豪」市場は、1〜9月累計で約566万人(前年同期比5.3%増)となりました。米国は252万2,800人(5.2%増)で、韓国・台湾・中国に次ぐ第4位の市場です。
ただし9月単月では、欧州主要5か国と米国・カナダ・豪州がそろって前年を下回りました。JNTOは中東情勢による航空券価格の上昇を主な要因に挙げています。欧米豪の市場は航空運賃の動きに左右されやすく、10月以降の推移にも注意が必要です。
▶ 国・地域別の旅行者の特徴と、多言語サイトでの集客方法はこちらで解説しています:アメリカ人の日本文化への関心/ドイツ人観光客向けの多言語サイト/フランス人観光客の地方誘致/オーストラリア人観光客の呼び込み/カナダ人旅行者向けの多言語ウェブ制作
| 市場 | 1〜9月累計 | 前年同期比 | 9月単月 前年比 |
|---|---|---|---|
| 米国 | 2,522,800人 | +5.2% | −3.2% |
| カナダ | 518,900人 | +4.9% | −11.4% |
| メキシコ | 173,500人 | +25.8% | +13.0% |
| 豪州 | 771,900人 | +2.2% | −6.1% |
| 英国 | 410,000人 | +4.6% | −4.1% |
| フランス | 354,000人 | +6.6% | −8.0% |
| ドイツ | 327,600人 | +2.6% | −12.7% |
| イタリア | 233,900人 | +2.6% | −9.7% |
| スペイン | 194,300人 | +8.5% | −3.6% |
| 北欧地域 | 155,600人 | +11.2% | −4.5% |
| 欧米豪 計 | 5,662,500人 | +5.3% | — |
その一方で、メキシコ(+25.8%)、ロシア(+20.5%)、インド(+19.0%)、中東地域(+18.0%)といった市場が累計で大きく伸びています。9月には韓国・台湾・シンガポールとともに、この4市場がいずれも9月として過去最高を記録しました。
▶ 中東や東南アジアからの旅行者を迎える準備は、ムスリムフレンドリー対応の完全ガイドで紹介しています。
観光庁の「インバウンド消費動向調査」(2026年7〜9月期・1次速報)によると、7〜9月の訪日外国人旅行消費額は2兆2,076億円(前年同期比3.2%増)でした。1〜9月の累計は7兆574億円と、同じ期間として過去最高です。訪日客数は前年を下回っているにもかかわらず、消費額は増えています。一般客1人当たりの旅行支出が23万3,677円(6.1%増)に上がったことが、人数の減少を補った形です。
国・地域別の消費額では、台湾が中国を上回って首位となりました。韓国も45.8%増と大きく伸びています。費目別では、宿泊費が7,778億円(構成比35.2%)で最も多く、買物代が6,109億円(11.0%増)で続きました。
| 国・地域 | 消費額 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 台湾 | 3,818億円 | +26.2% |
| 中国 | 3,583億円 | −39.8% |
| 韓国 | 2,938億円 | +45.8% |
| 米国 | 2,409億円 | +9.1% |
| 香港 | 1,555億円 | +37.1% |
| 国・地域 | 1人当たり旅行支出 |
|---|---|
| フランス | 423,021円 |
| メキシコ | 414,152円 |
| 北欧地域 | 407,378円 |
| スペイン | 407,288円 |
| ロシア | 398,725円 |
| 米国 | 344,121円 |
| 全国籍平均 | 233,677円 |
| 韓国(参考) | 113,959円 |
1人当たり支出の上位は欧州と中南米が占め、米国も34万4,121円と、韓国(11万3,959円)の約3倍です。韓国・台湾は「人数」で市場を支え、欧米豪は「1人当たりの単価」で売上を押し上げる――市場ごとに役割が違うことを前提に、集客の戦略を考える必要があります。
▶ 1人当たりの単価が高い旅行者を狙う戦略は、富裕層向けの体験と多言語発信の記事もご覧ください。
2026年7月から、日本を出国する際にかかる国際観光旅客税(いわゆる出国税)が、1,000円から3,000円に引き上げられました。
さらに2026年11月からは、外国人旅行者向けの免税制度が「リファンド方式」に移行しました。旅行者はいったん消費税込みの価格で購入し、出国時に税関で持ち出しが確認された後で、消費税相当額の返金を受ける仕組みです。あわせて、消耗品の特殊包装や、消耗品の購入上限(50万円)も廃止されます。
免税販売を行う事業者は、購入時の手続きや返金の流れを外国人客に正しく伝える必要があります。店舗サイトに英語の「Tax-free shopping」案内ページを用意しておくと、来店前の不安を減らし、店頭での説明や問い合わせ対応の負担も軽くできます。
韓国と台湾は、合わせて訪日客の約半数を占める最大のボリューム層です。この層を確実に取り込むには、旅行中にスマートフォンから空き状況を確認し、その場で予約・決済まで完了できる仕組みが欠かせません。問い合わせメールのやり取りが必要なままでは、予約の機会を逃してしまいます。
1人当たり支出が大きい欧米豪の旅行者は、旅行前にGoogle検索で情報を集め、宿泊先や体験を自分で予約する傾向があります。英語に加え、フランス語・ドイツ語・スペイン語・イタリア語でも検索結果に表示されれば、OTAを通さずに直接予約を受けられる可能性が高まります。
2026年1〜9月の訪日外客数は3,073万人で、前年同期比2.9%減でした。10〜12月が前年同期比5〜10%減で推移したと仮定した当社の試算では、年間は約4,070万〜4,120万人です。4,000万人台は維持する一方、過去最高だった2025年(約4,268万人)は下回る見通しです。
人数では韓国(+21.6%)と台湾(+19.1%)が大きく伸びています。伸び率では、メキシコ(+25.8%)、ロシア(+20.5%)、インド(+19.0%)、中東地域(+18.0%)が目立ちます。中国を除いた1〜9月の訪日客数は、前年同期比13.4%増でした。
一般客1人当たりの旅行支出が23万3,677円(前年同期比6.1%増)に上がったためです。特にフランス・メキシコ・北欧・スペインは1人40万円以上、米国も約34万円と高く、人数の減少を単価の上昇が補いました。1〜9月の旅行消費額は7兆574億円で、同じ期間として過去最高です。
2026年1〜9月の訪日外客数は3,073万人と前年をわずかに下回りましたが、中国を除けば13.4%の増加で、旅行消費額は同期間として過去最高を更新しました。韓国・台湾が人数を、欧米豪が単価を支える構図がはっきりし、訪日市場は特定の国に頼らない「多極化」の段階に入っています。
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出典
・日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年9月推計値)」2026年10月21日発表
・観光庁「インバウンド消費動向調査 2026年7-9月期(1次速報)」
※2026年8月・9月の訪日外客数は推計値、旅行消費額は1次速報値です。中国以外の訪日客数、欧米豪の合計、構成比、年間見通しはJNTO公表値をもとに当社が算出したものです。
関連記事:2025年訪日外客数年間累計レポート/2026年1月 訪日外客数レポート
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