エリア別インバウンド客の動向と今後のトレンド

1. 中国:

  • 動向: 2019年までは訪日外国人全体の約3割を占める最大市場でしたが、コロナ禍で大幅に減少。2023年以降は徐々に回復傾向。
  • トレンド: ゼロコロナ政策解除後の旅行需要の高まり、個人旅行やFIT(Free Independent Traveler)の増加、地方への分散化、体験型観光への関心が高まると予想されます。

2. 韓国:

  • 動向: コロナ禍前の2019年には訪日外国人全体の約24%を占める第2位の市場。2023年以降は回復傾向にありますが、円安の影響で消費額は伸び悩んでいます。
  • トレンド: LCCの利用による個人旅行の増加、リピーターの増加、地方都市への関心が高まると予想されます。

3. その他アジア(台湾、香港、東南アジアなど):

  • 動向: コロナ禍からの回復が比較的早く、2023年には2019年の水準に近づく見込み。特に台湾からの旅行者が増加しています。
  • トレンド: 日本文化への関心の高まり、アニメや漫画の聖地巡礼、地方都市への旅行、長期滞在の増加が予想されます。

4. ヨーロッパ:

  • 動向: コロナ禍からの回復は緩やかですが、2024年以降は増加傾向に転じると予想されます。
  • トレンド: 文化体験や自然観光への関心が高く、地方都市への旅行や長期滞在が増加すると予想されます。

5. アメリカ:

  • 動向: コロナ禍からの回復は順調で、2023年には2019年の水準を超える見込み。
  • トレンド: ハワイからの旅行者を中心に、リピーターの増加、地方都市への旅行、アドベンチャーツーリズムやアウトドア体験への関心が高まると予想されます。

6. オセアニア(オーストラリア、ニュージーランドなど):

  • 動向: コロナ禍からの回復は比較的早く、2023年には2019年の水準に近づく見込み。
  • トレンド: スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツ、自然観光、地方都市への旅行への関心が高まると予想されます。

全体的なトレンド:

  • 個人旅行・FITの増加: 団体旅行から個人旅行へ、パッケージツアーからFITへとシフトしていく傾向が強まると予想されます。
  • 体験型観光への関心の高まり: 日本の文化や自然を体験できるアクティビティへの需要が高まると予想されます。
  • 地方分散化: これまで人気の高かった東京や京都だけでなく、地方都市への旅行者が増えると予想されます。
  • 持続可能な観光への関心の高まり: 環境に配慮した観光や、地域社会に貢献できる観光への関心が高まると予想されます。
  • デジタル化の進展: オンライン予約やモバイル決済の普及、SNSでの情報収集など、デジタル技術を活用した旅行が増えると予想されます。

これらのトレンドを踏まえ、各エリアの特性に合わせた誘客戦略を展開することが重要です。

(出典:日本政府観光局(JNTO) 2024年4月 入国者数(推計値))

エリア別インバウンド客の動向と今後のトレンド

インバウンドの全体的なトレンドとしてパッケージツアーからFITへのシフトが注目されています。SNSや動画で配信された体験談をさらに深く追究する旅行者が増えFITの加速化を生んでいるのかもしれません。

従来の主要観光地へのパッケージ旅行が減少し、様々な趣味や関心に細分化された旅行客が増え、受け入れ側の先手を打ち、細分化されてた体験型旅行への対応を確立する必要があります。

アメリカ国籍の入国者数の推移

(出典:日本政府観光局(JNTO)

地域限定旅行業の優位性を活かした情報発信が重要

中国とアメリカのインバウンド は入れ替わったのか? と言う疑問

2019年と2023年1月~3月のインバウンド数を比較すると、中国とアメリカで順位の入れ替わりが起こっています。

2019年では中国からのインバウンド数が2,681,500人で、アメリカからのインバウンド数367,400人を大きく上回っていました。しかし、2023年1月~3月では中国からのインバウンド数が39,100人に激減し、アメリカからのインバウンド数285,600人を下回っています。

これは、新型コロナウイルス感染症の影響による中国からの渡航制限が大きく影響していると考えられます。2023年に入っても中国からの渡航制限は完全には解除されておらず、インバウンド数が伸び悩んでいる状況です。

一方、アメリカからのインバウンド数は、2023年1月~3月でも2019年の77.7%まで回復しており、中国からのインバウンド数減少の影響を受けながらも堅調に推移しています。

したがって、2019年と2023年1月~3月のデータを見る限り、中国とアメリカのインバウンド数で入れ替わりが起こっていると言えます。

ますます重要になる地域限定旅行業の役目

地域限定旅行業務取扱管理者が企画するインバウンド旅行には、以下のような優位性があります。

  1. 地域密着型の深い知識と経験:
    地域限定旅行業者は、特定の地域に特化して事業を行っているため、その地域の観光資源や文化、歴史、食などについて深い知識と経験を持っています。
    そのため、他の旅行業者では提供できないような、地域ならではのユニークな体験や穴場スポットを紹介することができます。
    地域住民とのつながりも深く、地元の人々との交流を通じて、より深く地域の魅力を体験できるような旅行プランを提供することができます。
  2. パーソナルな対応:
    地域限定旅行業者は、大規模な旅行会社と比べて小規模な場合が多く、きめ細やかな対応が可能です。
    旅行者のニーズや好みに合わせたオーダーメイドの旅行プランを作成したり、旅行中のサポートを充実させることができます。
    個人旅行者や少人数グループ向けの旅行プランに強みを発揮します。
  3. サステナブルな観光への貢献:
    地域限定旅行業者は、地域経済の活性化や環境保全に貢献することを目指している場合が多く、サステナブルな観光を推進しています。
    地元産の食材を使った食事を提供したり、環境に配慮したアクティビティを企画したりすることで、地域社会との共生を図っています。
    これらの取り組みは、環境問題や社会問題に関心の高い外国人観光客にとって、魅力的な要素となります。
  4. 多様な体験型コンテンツの提供:
    地域限定旅行業者は、その地域ならではの体験型コンテンツを豊富に提供しています。
    例えば、伝統工芸体験、農業体験、漁業体験、自然体験など、地域の魅力を五感で感じられるような体験を提供することができます。
    これらの体験は、訪日外国人にとって忘れられない思い出となり、リピーター獲得にもつながります。
  5. 地域経済への貢献:
    地域限定旅行業者は、地域内の宿泊施設、飲食店、交通機関などを利用することで、地域経済の活性化に貢献しています。
    地域住民の雇用創出にもつながり、地域社会の持続的な発展に寄与します。

これらの優位性を活かすことで、地域限定旅行業者は、インバウンド市場において独自のポジションを確立し、競争力を高めることができます。

アメリカ人観光客と中国人観光客には、以下のような相違点が見られます。

旅行スタイル

  • アメリカ人観光客: 個人旅行や少人数グループでの旅行を好む傾向があります。旅程は比較的柔軟で、現地でのアクティビティや体験を重視します。
  • 中国人観光客: 団体旅行を好む傾向があります。旅程は事前にしっかりと計画されており、有名観光地やショッピングを重視します。

消費行動

  • アメリカ人観光客: 質の高いサービスや体験にお金をかけます。ホテルやレストランでのチップも一般的です。
  • 中国人観光客: ブランド品や高級品を購入する傾向があります。免税店での買い物も人気です。

文化的な背景

  • アメリカ人観光客: 個人の自由やプライバシーを尊重します。自己主張が強く、自分の意見をはっきり伝える傾向があります。
  • 中国人観光客: 集団主義的な文化を持ち、周りの人に配慮する傾向があります。交渉や値引きを好むこともあります。

どの地域国籍の渡航者が来ても対応できる様準備が必要

このまま中国よりの観光客が減っていくのか、またはアメリカ人観光客の大幅な伸びがこれからも期待できるのかまだ分かりませんが多様な国及び文化の人々を受け入れる準備が必要です。 ある特定のマーケットに集中する事により、効率良く集客を図れるかもしれません。

特に食事制限があるイスラム圏の場合はレトルトのハラル食を用意し、宿泊施設にお祈りの間を設けるなど宗教対応をすることでマレーシアなどの国よりの観光客の誘致に成功している事例があります。 いま時代は様々な国の文化を理解し、対応しないと勝ち残れない時代になっているのかもしれません。

これからの体験型観光は株式会社オーキッドの多言語サイトがおすすめ

お気軽にお問い合わせください