全体概況

2025年1-7月の訪日外客数は累計で24,955,400人に達し、前年同期比18.4%増という力強い成長を記録しました。これは同期間として過去最高の数値となっており、日本のインバウンド市場が確実に回復・成長軌道にあることを示しています。

主要な成長トレンド

地域別成長率の特徴

  • 中国が前年同期比47.9%増と最も高い成長率を記録
  • インドが38.4%増、インドネシアが27.3%増と新興市場の伸びが顕著
  • 欧州各国も軒並み20-40%台の高成長を実現
  • 東南アジア市場では国により明暗が分かれる結果に

注目すべき市場動向

  1. アジア新興市場の急成長: インド、インドネシア、ベトナムなどが高い成長率を維持
  2. 欧州市場の本格回復: 全ての主要欧州国が2桁成長を達成
  3. 北米市場の安定成長: 米国、カナダともに堅調な伸びを継続

グラフ1: 地域別訪日外客数(1~7月累計)の分析

出典: JNTO訪日外客数2025年7月推定値

東アジアが全体の約58.5%を占める最大の市場となっており、14,588千人が訪日しました。続いて東南アジア(2,933千人)、北米(2,395千人)、欧州(1,599千人)の順となっています。東アジアの圧倒的なシェアは継続していますが、他地域の成長も注目されます。

グラフ2: 主要地域・国の前年同期成長率比較の分析

出典: JNTO訪日外客数2025年7月推定値

ロシアが102.9%増と最も高い成長率を記録し、中国の47.9%増、スペインの44.6%増が続きます。新興市場であるインド(38.4%増)、インドネシア(27.3%増)の成長が顕著で、これらの市場への多言語対応が急務となっています。一方、香港は-6.9%と唯一のマイナス成長となりました。

グラフ3: 地域別シェア円グラフの分析

出典: JNTO訪日外客数2025年7月推定値

東アジアが58.5%と過半数を占めますが、東南アジア(11.7%)、北米(9.6%)、欧州(6.4%)など他地域の存在感も高まっています。市場の多様化が進んでおり、各地域に応じた多言語戦略が重要です。

グラフ4: 東アジア地域分析

出典: JNTO訪日外客数2025年7月推定値

中国が569万人で最大市場となり、47.9%の高成長を記録しました。韓国は546万人で第2位ですが成長率は5.0%に留まっています。台湾は389万人で9.5%成長と安定した伸びを示しています。香港は-6.9%と減少傾向にあります

グラフ5: 東南アジア地域分析

出典: JNTO訪日外客数2025年7月推定値

タイが729千人で最大市場となっていますが、成長率は8.5%と穏やか。注目はインドの38.4%成長で、169千人と規模は小さいものの今後の期待市場です。インドネシア(27.3%増)、マレーシア(31.0%増)も高成長を維持しており、これらの市場向けの現地語対応が収益機会となります。

グラフ6: 北米地域分析

出典: JNTO訪日外客

米国が1,979千人で圧倒的な規模を誇り、24.1%の堅調な成長を記録。カナダは388千人で20.9%増、メキシコは105千人ながら30.7%の高成長を示しています。英語での情報発信強化により、さらなる取り込みが期待できます。

グラフ7: 欧州地域分析

出典: JNTO訪日外客数2025年7月推定値

英国が308千人で最大市場、フランス256千人、ドイツ231千人が続きます。特筆すべきはロシアの102.9%増という驚異的成長と、スペインの44.6%増です。欧州全体で20-40%台の高成長を記録しており、英語・フランス語・ドイツ語での多言語対応により大きな収益機会が見込めます。

これらのデータは、インバウンド関係者にとって多言語ウェブサイトの必要性を強く示唆しています。特に成長著しい新興市場への対応が競争優位の源泉となるでしょう。

インバウンド関係者への提言

これらの成長データは、多言語対応の重要性を強く示唆しています。特に以下の点が重要です:

飲食店経営者の皆様へ

  • 中国語(簡体字・繁体字)、英語、韓国語の基本3言語に加え、成長著しいインド市場を狙ったヒンディー語・英語メニューの充実
  • インドネシア、ベトナムなど東南アジア市場向けの多言語ウェブサイト構築

観光地・宿泊施設運営者の皆様へ

  • 急成長するインド市場(38.4%増)への対応として英語コンテンツの質向上
  • 欧州各国からの訪問者増加に対応した英語・フランス語・ドイツ語での情報発信強化

その他インバウンド関係者の皆様へ

  • 成長ポテンシャルの高い新興市場(インド、インドネシア、ベトナム)への積極的アプローチ
  • 多言語ウェブサイトやSNSを活用した情報発信で、これらの成長市場の取り込みを図ることが競争優位の源泉となります

データが示す通り、インバウンド市場は多様化が進んでおり、従来の東アジア中心から世界各地域への拡大が顕著です。この機会を活かすには、多言語対応による情報発信力の強化が不可欠です。

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